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6年ほど前、妊娠ブログを適当に書き散らしていたぬまぶんが、 その後、育児の傍ら制帽学校に通い帽子屋修行を始めたその後の日々です。
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プロフィール
HN:
ぬまぶん
性別:
女性
職業:
鬼在宅ワーカー
趣味:
読書
自己紹介:
東京都内に住む30代かあちゃん。
娘とともに自分を見失いがち。
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 リニューアルしたてのF競馬場は確かに内も外もぴかぴかで、
老若男女全てがアミューズ出来るというふれこみ通り一見ディズニーランドのような、
万人に親しげな表情をしているのだが、「打つ」人々のエネルギーが圧倒的に「ハコ」を圧倒しているというか、プロの清掃員の人たちが瞬時に片つけるからゴミは無いんだけれどゴミだらけというか、とにかく心ここにあらぬ人が沢山いて、わさわさしていたので私は嬉しくなった。
建物の内装は地中海風というか作りものの葡萄がコリント式(?よく分からない。適当なことを言っている)円柱に蔓をからめたりしてるんだけれども、天使が舞う巨大な西洋絵画の下で、人々は皆靴脱いで競馬新聞を敷物変わりに広げて焼き鳥食べたり予想をたてたりしているんだ。
keiba3.JPG
おっさん達のファッションは一様にスニーカーウィンドブレーカーにニットキャップ。
だだっ広いトラックをおんまさんの群れがドドドドと横切るたびに「刺せっ!さーせぇー!」だとか
結果が出れば「間違ってんじゃねえーのか?!」とか充血した目でさけんでいる。時には怒って物を投げている。

そして乳幼児をバギーごと連れ込んで、ベンチの上だろうとテラス席のテーブルの上だろうと所構わずおむつを替えたりしている家族連れが結構たくさん来ていた。
なんだ、別に「出産前にはデビュウを済ませておかねば!」
などと気負う必要も無かったのかもしれぬな、と思った。

前の記事で「打つ」を是非やりたいなんて書いたが、結局呑みこみが悪いせいで配当金のしくみとかなんだか理解できず100円分だけ単賞の馬券を買って貰い、
あとは美味しいやきそばやフライドチキンを食べつつ私はひたすら競馬場に集う人々の様子を見ていた。
それだけで満足。
何故だか私は昔からこういった「良識派なら眉を潜める」
もっと云えば「民度の低い(UCLA帰りの日本人学者様が駅で煙草を吸うおっさんについて汚いものを見るような調子でこう表現していた。民度が低いって悪い事なのかしらん?)場所」が好きだ。
私は大人も子供も状況に巻き込まれてむき出しの顔をしている空間が好きなんだよなー。

子供の頃住んでいた新興住宅地の沿線を少し外れたところには、ヤミ市の風情をそのまま残す
ごちゃごちゃ街があった。昼間っからラジオの演歌が流れる中酔っぱらったおっさん達がごろごろ転がっているような「路地」だ。
わたくしの両親(特に母親)は結構厳しくいろいろ神経を使う人で、
平素、そこの通りには「なるべく行くな」と言われて
いたのだけれど、独特な活気に惹かれて「通らないと図書館に行けない」などと理由をつけてはちょくちょく通っていた。
それで、嗅いだ事の無い肉の焼ける匂いとドブの匂いが混ざる中
焼き鳥屋で管を巻くおっさんの赤い顔や「ホッピー」「モツ煮」「雀の丸焼き」などの謎のメニュー書き
を横目で観察したその光景をいまだによく覚えている。
おかあがなんで「行くな」と言ってたのかと考えるに、
それは彼女が「大人」の領域に「子供」が入り込むのをとても警戒していたからなんだろうと思う。
で、私も間も無くおかあになる事だし
スッサン前に一度訪れておこうと思い、先日機会あってその路地へ出向いたのだがナント、かろうじて街の外郭は残っていたものの肝心の中身・・・居酒屋さん、魚屋さん、乾物屋さん、クリーニング屋さんなどなどの店全てが焼け落ちて廃墟になってしまっていた。
なんでも立ち退き問題で市と揉めているところを何ものかに放火されてしまったんだという。
江戸時代の振袖火事の例にもれず上からの都市計画が実施されるときって
いつでも自然発生的に繁茂する「民度の低い」街は「燃さ」れてしまうんだな。
ぐぐぅ~。
ちくしょー。
私は焼け残ったクリーニング屋さんが集っていた再建を嘆願する名簿に大きいお腹で署名した。
私の子供が大きくなるときにこういう場所が無くなると良くないと思ったからだ。
「大人」と「子供」の世界は分けるべきだと確かに思うし、
私がおかあになった時にはやっぱり「行くな」と言うかもしれないけれど、それは「臭いものに蓋」して隠せばいいってことじゃない。
で、直接関係は無いのだけれど、その放火された街のことを思い出しながら
私はぴかぴかでお洒落な競馬場を題無しにする「打つ人々」のダウナーな力を頼もしいと思った。
おんまさんがどどどどっと目の前をものすごい勢いで走っていくのだけれど、おんまさんがトラックを蹴立ててぼろぼろにしてしまうように、博徒の方たちにもどんどんぴかぴかでオサレな競馬場なんてぼろぼろにして貰いたいと思った。
「臭いものには蓋」しても「臭いもの」が「蓋から食み出る」パワーが見られて良かった。

そこにはキラリと光るお洒落な博徒もいたしね。keiba1.JPG
結局夫が5000円、私が200円負けて我々は夕暮れの競馬場をあとにした。

そのあと
駅前の夫婦お気に入りの居酒屋へ行って夫はビィル、わたしは
毒々しいピンク色のアセロラジュースを飲んだ(妊婦はアルコールだめです)。
ここの居酒屋さんも、店の前に発泡スチロールの箱と葱がむき出しで積み上げてあったり
店の中もビニール袋が沢山つり下がってたりする「ごちゃごちゃ飲食店」なのだが
肴が素晴らしく美味しくって、雰囲気も素晴らしく楽しくって夫婦とも行くたんびに幸せな気分になる。
20人も人が入れば一杯になってしまう狭い店なのだけれど、いつでも満席でお客さんも皆いい顔をして笑ってるのだ。
だし巻き卵、厚揚げ、いなごのつくだに、あじのお刺身、ホウレンソウのおひたし、と料理はシンプルなものばかりなのだけれどどれもこれも安くて美味しい。
余計なBGMも無くって時間が止まったような場所なのだ。
この日はむちむち太った白シャツの「たぺっとさん」がお客さんの中に居て
「あなたたち、素敵なカップルね!この店よく来るの?!ね!楽しいお店よね!たぁーのしいの!
また来てね!一緒にのみましょうね!」
とお店の人でも無いのに、私と夫の肩や腕をぺちぺち叩いて店をアピールしていた。
keiba2.JPG
(たぺっとさんとはいわゆるオカマさんのことです。仏語でぺちぺち叩くことをtaperタペと言い、そこからおしゃべりな人や
人をパチパチ叩くおかまさんのことをtapetteタペットと読んだりする。これはなかなかオモチロイ表現だと思うし、私は素人な

のでゲイの人たちの細かい分類が良く分からない。とりあえずたぺっとさんと統一して呼んでいる)



しかしでも
どうもこの界隈も間もなく再開発される予定らしい。そうしたらこの居酒屋さんの佇まいも失われてしまうんだろう。
私もおかあちゃんになることだし
しばらくたぺっとさんにも会えないね。
やっぱり子供と一緒に居酒屋にはこれないなあ。
でもファミレスとかマクドナルドとかアミューズメントパークとかに子供押し込んでおくのも嫌なんだよな。
理想は子供の世界から大人の世界を時々チラリズムして色々考える環境だといいな、なんて思うのだけれどな。街の光景がどんどんうすっぺらになっていく気がしてさ・・・へんな危機感を持つんだな。
子供は無害で夢があって口当たりの良い世界に保護しながら育てるべきなのか
それとも、世界は有象無象なんだから情報は統制しないで全て与えるべきなのか。
大人と子供の世界を分けるのって難しい。分からない・・・。
もう出産までそんなに間が無いのだけれど、まあ、考えながら出来るだけいろいろな空間を横断しておこう、と思った。

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無題
久々にのぞいてみたら、更新されてて嬉しかったわ。妊婦生活満喫できてるみたいで何より。
私は妊婦でも子持ちでもないけど、子どもと大人の世界を分けることについてちょうど考えていたところだったのよ。こちらにいると、テレビのCMや番組予告など、性描写が露骨で、(ぬまぶんもフランスで経験済みだと思うけど)、自分は慣れてしまったけれど、自分に子供ができたとしたらこれらの情報とどう向き合っていけばよいのだろう…とつくづく考えます。
ところで、ファミレス、マック、アミューズメントパークなど、私も好きじゃないけど、でも子どもってそういうのに、すごく魅せられる-というか、そういう工夫が凝らされている-からぬまぶんも将来的には行くことになるかもよ~なんか想像できないけどね。
KYM 2008/05/24(Sat)22:12:12 編集
Re:無題
ぐふふ。コメントありがとう。
日本に来た欧米人は、日本の電車のつり広告にセクシー水着写真が使われてることに驚く&眉をひそめるよね。モデルが若く見えるらしくって「ロリだ!ペドだ!」と知り合いのフランス人男性にかなりヒステリックに怒られた(?)ことがあるけど、逆になんかコンプレックスあんのか?と意地悪な私はおもってしまった・・・。
でも、そういったロリータ趣味とは質が微妙に違うけどあっちの広告のセクシスィーさも、日本人から見ると強烈だよね。
しかしヨーロッパ広告のセクシィーイメージって
なんか大人どうしで良いセックスしてそうでそんなに嫌いじゃないなあ、わたしは。

もし子供が「ディズ●ーランド」行きたいと言ったら
騙して「はなやしき」に連れて行き「ここがディズ●ーランドだ」
と言い張って譲らないつもりです。
ああ、かわいそうなうちの子。
2008/05/25 01:18
無題
夫との初デートは競馬場でした。しかも現地で待ち合わせ。おっさん・・・ってかんじだよね。
街の光景はすごい速度で薄っぺらになっているよね。郊外はとくに。

ちなみにうちの子供たちはディ・ニーランド大好きだよ。でもいつも夫と洗脳洗脳されてはお互いを諭しの繰り返しです。ミュージカルもあんまりみせたくないなあ。
もんあや 2008/06/22(Sun)23:09:10 編集
Re:無題
>夫との初デートは競馬場でした。しかも現地で待ち合わせ。おっさん・・・ってかんじだよね。
最近は来てないのかい?
家族で来ておくれよ。oh!no!さんが馬を見て目を輝かせているのをみたい。
わたしらは焼き鳥とか食べようよ。

>
>ちなみにうちの子供たちはディ・ニーランド大好きだよ。でもいつも夫と洗脳洗脳されてはお互いを諭しの繰り返しです。ミュージカルもあんまりみせたくないなあ。

やっぱ、花やしきのジェットコースターにのるとさ、コースの周りの民家の洗濯物がはためいてるのが見える点がいいと思うんだよね。いい具合に人間くさくて。ディ●ニーランドは周囲の風景を徹底的にシャットアウトして、弁当も持ち込み禁止なところがいけすかんのよ(個人的な好みです)。
まあ、子供はほっといても小学校高学年ぐらいになったら勝手に友達と行くだろから、家族では花やしきかな。
2008/06/23 15:05
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